
英語でフィリピンと言おうとした時に、「あれ、theっていたっけ…?」「最後に複数形の【s】は必要?」と悩んでいませんか?
フィリピンに関する英語表現は、意外と迷いやすいポイントですよね。
実は、フィリピンの英語表記には明確な「理屈」があります。
この記事では、7,000以上の島々から成るフィリピンの歴史からその謎を紐解き、単なる丸暗記ではない「ロジカル記憶術」を伝授します。
この記事を読み終える頃には、国名から国民の呼び方まで、自信を持って使い分けられるようになっているはずです。
この記事を書いた人:しずか先生
元オンライン英会話講師 / TOEIC975点保持者
元大手オンライン英会話講師。これまで100人以上の日本人英語学習者に英語を指導。特に、初心者が躓きやすい冠詞や固有名詞の用法について、歴史や文化を交えたロジカルな解説で定評がある。「なぜ?」を大切にすることで、丸暗記に頼らない英語力と思考力を育むことをモットーとしている。
目次
フィリピンの正しい英語表記は「The Philippines」多くの人が間違える3つの落とし穴!

「フィリピンって英語で the Philippines って言うんですよ」――これだけだと、ただの丸暗記ですよね。
私も昔はそうでした。でも、この国が7,000以上の島々から成る「諸島」だと知った時、パズルのピースがはまったんです。
この記事では、そんな「なるほど!」の瞬間をあなたにも体験してもらいたいと思っています。
私がこれまで見てきた生徒さんの中でも、特にこの3つの点で混乱される方が多いんです。あなたも、もしかしたら心当たりがあるかもしれません。
- 冠詞の
theを忘れてしまう。 (I went to Philippines.のように) - 複数形の
sを忘れてしまう。 (the Philippineのように) - 人を指すときに
Philippineを使ってしまう。 (He is Philippine.のように)
これらの間違いは、決してあなたの英語力が低いからではありません。
むしろ、多くの学習者が通る道であり、その裏には英語のルールが隠されています。
まずは「自分だけじゃないんだ」と安心してください。
フィリピンは7,641からなる島々!"the"と"s"が英語表記に必要な歴史的な理由を解説!

なぜフィリピンの国名には the と s が付くのでしょうか。
その答えは、the Philippines という国名が Archipelago (諸島) であるという事実に隠されています。
フィリピンという国は、大小7,641もの島々が集まってできています。
この地理的な特徴が、国名そのものに反映されているのです。
歴史を遡ると、16世紀にスペインの探検家がこの地を訪れ、当時のスペイン皇太子フェリペ2世(Philip II)に敬意を表して「ラス・イスラス・フィリピナス(Las Islas Filipinas)」と名付けました。これはスペイン語で「フェリペの島々」を意味します。
この「フェリペの島々」が英語に翻訳されたものが the Philippine Islands です。そして、長い年月を経て日常的に使われる中で Islands の部分が省略され、現在の the Philippines という形が定着しました。
このように、the United States (合衆国) や the Netherlands (低地の国々) のように、複数の要素が集まってできている国や地域には the が付き、複数形になるというルールがあります。the Philippines は、まさにそのルールの典型例なのです。
この「諸島だから」という理屈を一度理解してしまえば、「the と s は必ずセットで使う」というルールを、もう丸暗記する必要はなくなります。
【実践編】人・モノ・文化… "Filipino"と"Philippine"の使い分け完全ガイド
| 項目 | Filipino | Philippine |
|---|---|---|
| 品詞 | 名詞 / 形容詞 | 形容詞 |
| 名詞の意味 | ①フィリピン人 ②フィリピン語(タガログ語がベース) | (なし) |
| 形容詞の意味 | フィリピン(人)の、フィリピン語の | フィリピン(国)の |
| 典型的な使い方 | ・He is a Filipino. (彼はフィリピン人です) ・I love Filipino food. (フィリピン料理が好きです) ・Filipino culture (フィリピン文化) | ・Philippine Airlines (フィリピン航空) ・the Philippine government (フィリピン政府) ・Philippine history (フィリピンの歴史) |
国名の謎が解けたところで、次なる実践的な課題、Filipino と Philippine の使い分けについて客観的に解説します。
この2つの単語は、どちらも「フィリピンの」という意味を持つ形容詞として使われることがありますが、その用法には明確な違いが存在します。
結論から言うと、人を指す名詞や、文化などを表す一般的な形容詞としては Filipino を使うのが基本です。
一方で Philippine は、より公式な組織名や固有名詞の一部として使われる傾向があります。
【結論】: 使い分けに迷ったら、まずは Filipino を選んでおけば、ほとんどの場面で自然な英語になります。
なぜなら、Philippine を人を指して使うことは明確な誤りであり、Filipino の方が形容詞としての汎用性が高いためです。
多くの学習者がこの2つの単語の使い分けで考え込んでしまいますが、まずは「基本はFilipino」と覚えておくだけで、コミュニケーションはずっとスムーズになります。
以下の比較表で、それぞれの単語が持つ役割と具体的な使われ方を確認しましょう。
フィリピンの英語表現に関するよくある質問
最後に、フィリピンの英語表現についてよく寄せられる細かな質問について、一つひとつ丁寧にお答えします。
Q1. フィリピンの言語は「タガログ語」じゃないの?
はい、その通りです。Tagalog (タガログ語) はフィリピンで広く話されている主要な言語です。
そして、そのタガログ語を基にして標準化された国語が Filipino (フィリピン語) です。
Filipino と英語がフィリピンの公用語とされています。
Q2. 首都「マニラ」や「セブ島」に the は付く?
いいえ、都市名やほとんどの島の名前に the は付きません。
I live in Manila. や I went to Cebu. のように、そのまま使います。
the が付くのは、あくまで「フィリピン」という国全体を指す場合です。
Q3. 正式名称 「Republic of the Philippines」はいつ使う?
Republic of the Philippines は、政府の公式文書や法律、国際的な条約など、非常にフォーマルな文脈で使われる正式名称です。
日常会話やビジネスメールで使うことはほとんどありません。
まとめ:フィリピンに関する英語表現!理屈がわかれば、英語はもっと面白くなる
今回は、フィリピンに関する英語表現について、その背景にある「理屈」から解説しました。
フィリピンの英語表現についてのポイント
the Philippinesは「諸島 (Archipelago)」だからtheとsが付く- 人、言語、文化を指すときは、基本
Filipinoを使う
この2つのポイントを理屈で押さえておけば、もう表現に迷うことはなくなるはずです。
自信を持って、明日の同僚との会話で早速使ってみてください。
きっと、あなたの知的な好奇心は、相手とのコミュニケーションをより豊かなものにしてくれるでしょう。
[参考文献リスト]